兵庫県丹波市産農産物のブランド力をより高めようと、同市やJAなどでつくる「丹の里」活性化推進協議会がこのほど、市産農産物全体をカバーする新ブランド「丹のやさい」の立ち上げを発表した。同ブランドロゴシールが貼られた農産品の販売を始めている。林時彦市長は「市農業の発展、生産者の活力、市全体の魅力アップにつなげていきたい」と意気込みを語った。
市は、丹波大納言小豆や丹波栗などはすでにブランド力があるが、「さらに上を目指し、全ての農産物の付加価値を高める仕掛け」と説明。市内に農作物を販売する生産者は約1200戸、作物約100種類を販売しており、これらを包含するブランドを新たに打ち出すことで相乗効果が生まれ、より強いブランド認知やイメージ向上につなげられると考えた。
提供価値を「まごころが通じ合う豊かなおいしさ」とし、「丹のやさい」と命名。特に説明がなくても消費者が農作物をイメージできる「やさい」と平仮名にし、果樹や穀物なども包含させた。
市内で生産した産品かつ、農作物直売所で販売しているか、消費者または実需者と直接取り引きしている人が「丹のやさい」の生産者。個人、法人、団体不問。市農業振興課に登録が必要。JAとれたて野菜直売所、ひかみ四季菜館、道の駅あおがき、道の駅丹波おばあちゃんの里の出荷者は、出荷者団体が生産者登録しており、新たな登録は不要。
登録すると、同ブランドロゴを印刷したシールやロゴデータが生産者に無償提供される。認定済みの4つの直売所で、すでに延べ約600人が同ブランドの生産者になっている。
来年の大阪・関西万博を、同ブランドの認知度を高める機会と捉え、大阪市内で販売会などを考えていく。
JAの野菜づくり3アール運動部会長の蘆田圭介さん(58)は、「一生懸命作る農作物の売れ残りが少なくなってほしい。全国に発信し、全国に出荷できるようになれば」と期待を語った。
同協議会は、市、JA丹波ひかみ、市商工会、市観光協会、県丹波県民局で構成。市内の農作物を市外に発信し、来丹を促す組織。
「丹のあんバターサンド」
新ブランド「丹のやさい」の立ち上げに合わせ、代表格の市産丹波大納言小豆を使った「丹のあんバターサンド」の販売が、丹波市内10店舗で始まった。土産の定番に、と企画。25店舗以上で順次販売する。
市商工会が会員事業所に「あんバターサンド」企画の情報を提供、製菓業者や飲食店が商品開発し参加した。「あんこ」は店によって炊き方や甘さが異なる。どら焼き、クッキー、ワッフル、パンなど、挟む生地も店それぞれ。
ときわどう丹波ゆめタウン店(同市氷上町本郷)は、来丹客向けの土産として展開。8個入り3200円で販売する。バタークリームに鹿の子と粒あんを混ぜ、クッキーで挟んだ。同店の辻和久さん(39)は、「食感の違いを感じてもらえるようにした」と言い、「作る店が増えるほど、発信力が増す」と、市の名物に育つことを期待している。
同店のほか、▽藤屋(山南町井原)▽やながわ本店(春日町野上野)▽カフェ・キッチン・マルク(氷上町上成松)▽TWINKLE SUGAR(氷上町下新庄)▽明正堂(柏原町柏原)▽パンの蔵 穂音(同)▽cafe Frontier ACE(同)▽無鹿リゾート(春日町下三井庄)▽ミストフェリーズ(柏原町母坪)―で販売。