自身10作目の小説出版 バンド時代の熱い”青春”描く 71歳の作家「20冊目標」

2024.12.29
丹波市地域

ロックバンドを組んでいた時代の実話を元に描いた自身10作目の小説を手にする西安さん=兵庫県丹波市柏原町柏原で

兵庫県丹波市の作家・西安勇夫さん(71)が、ロックバンドを組んで活動していた若い頃の実話を元に描いた小説「LUCEAWAY(ルーシーアウェイ)」を、東京図書出版から出した。自身10作目の小説。昨年に急逝したメンバーをしのび、「尖った反骨精神」を持って過ごした青春時代の記憶をつづった。「目標に向かって熱く頑張れば、夢をつかみ取れることを伝えたい」と熱を込める。

話のメインは、所属していた社会人バンド「ルーシー」の歩み。「その時代に反発する『不良』」と表現する4人のメンバーたちで活動した。予選会での目立つパフォーマンスがうけて実現したテレビ番組への出演、けんかや酒盛りをしながら重ねた練習など、今も鮮明に残る記憶をたどった。

当時のロックバンドや男性ファッション、経済などに関する時代背景も紹介。バンド時代の貴重な写真も挿し絵代わりに載せた。

「忙しかったけれど、楽しく、熱い日々をただがむしゃらに送っていた」と当時を振り返り、「閉塞感のある世の中をぶち破ろうとする人が出てきてほしい」と願う。完成した小説は、亡くなったメンバーの娘に送った。

高校卒業後、自動車部品メーカーに長年勤務。米国子会社の副社長なども務めた。病で退職した後、作家デビュー。単身赴任した米国生活や闘病、バイクでの日本一周など、自身の実体験を元にした作品が多い。「『事実は小説より奇なり』。事実だからこそ、読者の心の琴線に触れるものがあるはず」

2年に1冊のペースで本を出し続けている。コラム集も2冊出した。「伝えたい思いがあるときに書く。本を20冊出すのが目標。目標を決めないと、どこに向かって頑張れば良いか分からないでしょう。書くことはぼけるまでやめません」―。青春時代の熱さを今なお持ち続けている。

1000円。全国の書店や通販サイトで販売している。

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