93歳のカフェ看板娘 八尾幸子さん(丹波市)

2025.02.16
たんばのひと

八尾幸子さん

元気な姿、客の希望

昨年12月の閉店後も、連日常連客がコーヒーを飲みに集まる「森カフェ」(丹波市青垣町小倉)の看板娘。給仕をしつつ「トシばかり大きくなって、ぼつぼつ具合が悪いところが出てきてくれないと、かえって不安。ほんまに」と、常連とおしゃべりを楽しんでいる。来月94歳になる元気な93歳は、店に集う客が「あやかりたい」と、将来の自身の姿を重ねる希望の存在だ。

店がはやり、妹の足立勝子さん(80)がくたびれているのを見て「間に合うことがあれば」と、手伝い始めたのが85歳の時。閉店までは、煮物や焼き物など惣菜づくりを担当。閉店後も提供を続けている「ぜんざい」に使う、丹波大納言小豆のあんこ作りを任されている。炊き方は「随分昔。いつ覚えたか、忘れてしもた」。味付けは「こんなもんかなあという感じ」。

「買うより、何でも手作りする時代の人間やから」と、空いた時間に店の奥でミシンを踏み、洋服を縫っては無料で客や知人に配っている。針に糸を通すのに、眼鏡を使わない。

杖いらず。半世紀以上養鶏業を営み、身近な食材だった卵を「1日に10個と言わず食べた」良質なたんぱく質が丈夫な体をつくったと考えている。補聴器のおかげで会話に支障はない。

喜寿の年に事業がとん挫し、85歳までシルバー人材センターで働いた苦労人。客に多い20歳近く年下の後期高齢者に、時には先輩として実体験に基づく人生訓を説くことも。

「働き通しの人生だったけれど、人生の最終盤からが余計にいい。石原慎太郎の『老いてこそ』の世界。お客さんに生きながらえさせてもらった。でも、もうぼつぼつええかな」

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