2基でハート形に 伝統産業×住民ワークショップ「檜皮葺あずまや」 連載”まちの世間遺産”

2025.03.21
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伝統産業「檜皮葺」の屋根を持つあずまや。ハートの下で写真を撮れば、いいことがあるかも?=兵庫県丹波市山南町上滝で

当たり前にありすぎるけれど、住民が大切にしていきたいもの「世間遺産」―。丹波新聞では、兵庫県丹波地域の人や物、景色など、住民が思う”まちの世間遺産”を連載で紹介していきます。今回は、兵庫県丹波市山南町上滝の「檜皮葺あずまや」です。

兵庫県丹波市山南町上滝の丹波竜化石発見現場近く、「丹波竜の里公園」に、かわいらしい形の建築物がある。同町上久下地区でさかんな伝統産業「檜皮葺」の屋根を持つあずまやで、葉っぱの形の2基を上から見るとハート形が現れるという粋な趣向。檜皮葺の”渋さ”とハート形の”キュートさ”の意外な組み合わせが面白い。

丹波竜が草を食べているイメージでデザインされた

2020年に檜皮ぶきがユネスコ無形文化遺産に登録されたことをきっかけに、上久下地域自治協議会活動推進員の常岡芳朗さん(75)と、株式会社友井社寺社長、友井辰哉さん(53)が制作を発案した。

丹波県民局の事業を活用し、2021年からプロジェクトがスタート。屋根ふき体験をしてもらうワークショップ方式で作業を進めた。参加者は足場に上がって竹釘を打ち、檜皮の裏側に自分の名前やメッセージも書き入れた。ワークショップは14回開催し、延べ約170人が参加。多くの人の思いがこもったあずまやは、23年10月に完成した。

丹波竜の実物大モニュメントのすぐそばに設置されており、「丹波竜が餌の葉っぱを食べているイメージ」でデザインしたという。昨年、檜皮ぶきの説明看板も立て、常岡さんは「ええ感じやな」と満足げ。友井さんは「ワークショップに参加してくれた子どもたちが、大きくなって家族や恋人とまた訪ねて来てくれたら」と期待していた。

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