初の6億円突破 ふるさと納税過去最高 ゴルフボール人気も「他の返礼品も育てたい」

2025.04.11
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 兵庫県丹波市の2024年度ふるさと納税寄付額が、今年2月末現在で約6億1099万円(約1万6180件)に上り、当初予算の4億2000万円をはるかに上回る過去最高額となった。年度末では、前年度比約1・58倍の約6億4000万円を見込んでいる。

人気返礼品1位のゴルフボール

急増の要因は、ふるさと納税返礼品のゴルフボール人気。プロゴルファーの松山英樹選手、渋野日向子選手らも使用する「SRIXON(スリクソン)」「XXIO(ゼクシオ)」シリーズで、住友ゴム工業市島工場(同市市島町梶原)で製造されている。24年度寄付額のうち、市が詳細な内訳を公表した1月末現在では4億2888万円で、全体の7割近くを占める。

返礼品2位の牛肉

23年10月から総務省の返礼品地場産品基準が厳格化。同社製のゴルフボールを返礼品にできるのは全国で2市(丹波市、広島県大竹市)に絞られたため、両市に需要が集中した。また、ダース数にバリエーションを持たせ、品目数を大幅に増やしたことも寄付増につながった。

人気返礼品3位の丹波栗

人気返礼品の2位は牛肉で、1月末の寄付額は1597万円。3位以下は丹波栗、アイスクリーム、なた豆茶と続く。

返礼品目は670に

2008年にふるさと納税制度がスタート。丹波市はたんば商業協同組合に事務業務を委託しており、共同で返礼品の開発なども行っている。

寄付額を増やそうと、市ふるさと創造部総合政策課はさまざまな“作戦”を展開してきた。昨年8月には農業者向けに説明会を開催し、需要が高まっている米や、特産の丹波栗、丹波大納言小豆、山の芋などの農産物の返礼品も増やした。品目は年々増え、現在は670品ある。

また、窓口となるポータルサイトの提携数も徐々に増やしてきた。16年度に「ふるさとチョイス」の利用を開始し、一気に寄付額が増加。現在は「さとふる」「ふるなび」「楽天ふるさと納税」「Amazonふるさと納税」「Yahoo!ふるさと納税」などのサイトと、市独自の特設サイトを合わせて9つのネット窓口を設けている。

丹波市は増収自治体

こうした関係者の努力が実を結び、丹波市は寄付額が順調に増える傾向にある=棒グラフ参照。ふるさと納税は、個人が自治体へ寄付を行い、一部が所得税や住民税から控除される制度。都市部と地方の格差是正などを目的としており、自分の住んでいる自治体には寄付できない。全国的なふるさと納税の伸びと同じく、市民が他の自治体にふるさと納税を行う額も増えており、その分は税収減になっている。とはいえ、控除による減収額は、23年度が1億1073万円、24年度見込み額が約1億2540万円で、同市は大幅に恩恵を被る側の自治体といえる。

ただ、24度のふるさと納税額は、ゴルフボールを除くと、前年度より減少した。主力返礼品だった乳児用粉ミルクが、製造工場の移転に伴って提供できなくなったことが要因。“一極頼み”には危うさもあり、同課は「ゴルフボールの他にも魅力的な返礼品を育て、地場産業の活性化につなげたい」と話す。これまでの傾向から、25年度はさらに寄付額の伸びを見込み、7億5000万円を目指している。

使い道は?

寄付者が選択できる使い道希望の内訳(1月末現在)は、「市政全般」が最も多く約40%。続いて「子育て・教育・文化」(約32%)、「農業・林業・産業振興」(約14%)などとなっている=円グラフ参照。

24年度の実際の使い道は、▽市健康センターミルネ診療所の医療機器更新▽救急車両の更新▽市内公立高校の魅力化支援▽アフタースクールのトイレ改修▽ラジコン草刈り機の購入―など、多岐にわたる。同課は「さらに寄付を伸ばして、市民のために活用したい」と話していた。

 

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