兵庫県丹波市山南町和田の県指定史跡「岩尾城跡」で、登山者によるたき火跡が見つかった。元は石垣だった石でかまどを作ったとみられ、山の整備を行っているふるさと和田振興会と、丹波市社会教育・文化財課は「史跡の石を動かすのは破壊行為。火をつけるのは火事の危険もある。マナーは守って」と憤っている。
毎日登山している女性が3月31日にたき火跡を見つけた。同課の職員らが、7日に現地を確認したところ、「石垣の周辺に転がっていた石を使って、かまどにしていた」ことが分かった。また、丸めたアルミホイルがそばにあり、同課職員は「調理をしたのではないか」とも推測する。
同城跡がある山は「蛇山」(標高358メートル)の名称で、えとが「巳年」の今年、一気に登山者が増えているという。同振興会がパンフレットの残数で把握している個人登山者は、1―3月で524人いた。昨年度は12月に55人だったものの、4―11月は50人を超える月はなかった。
同振興会は登山者が増えたことを喜びつつ、「石垣を登ったり、石垣の端でジャンプしたりして、ネットに投稿している人もいる。崩れる可能性があるので絶対にやめて」と苦言も。同課は「今までは“穴場”的な山城で、自然と守られてきたところがあるが、登山客が増えたことで問題も出てきた。良好なまま後世に文化財を残したい」と話している。