小児科医 松本好弘さん(丹波市)

2025.04.13
たんばのひと

松本好弘さん

病気乗り越え診療再開

縁あって開業した丹波市氷上町谷村で36年間にわたり、地域医療を支え続けている。3年前に脳出血で倒れ、1年半前には脳こうそくで1年あまり入院した。ほぼ寝たきりの状態だったが、「また仕事がしたい」との強い思いでリハビリに取り組み、退院後、週2回の診療で医院を再開。今月からは、診療日を増やすとともに、妻の緑さんと一緒に子どもたちの発達支援に関わる事業も始めた。

鳥取大医学部を卒業後、鳥取県や兵庫県の公立病院で勤務。開業する土地を探していた折、通りがかった氷上町の風景に心ひかれ、「ここに住もうよ」と緑さんに伝えたという。

氷上町医師会(当時)にあいさつに行くと、谷村の国保診療所の医師が辞めたばかりで、「1年だけでいいので勤めてほしい」と頼まれた。自宅を建てた氷上町横田で開業予定だったが、谷村が気に入り、診療所の場所で「まつもと医院」を開業した。

「子どもが好き」で選んだ小児科医。「子どもたちといろんな出会いがあり、厳しい話も、良い話もいろいろ聞かせてもらった」。夜、診察を終えた後に悩みを聞いたこともしばしばで、“お父さん”と慕ってくれる女子高生もいた。「心の負担を取り除いてあげたい」と励まし続け、「つらい思いをした子が、母になると伝えに来てくれた時は、うれしくて涙が出た」。

「子ども時代にしっかり遊べば、良い大人になれる」という言葉に共感し、「元気に子ども時代を過ごしてほしい」と心から願っている。「かかりつけになった子どもとの関係はエンドレス。区切りを付けることはない」と優しくほほ笑んだ。

京都府舞鶴市出身。72歳。

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