障がいのある人もない人も一緒に音楽を楽しむことで「心のバリアフリー」を目指す「兵庫・丹波篠山国際とっておきの音楽祭」が26日午前10時半―午後5時、田園交響ホール(兵庫県丹波篠山市北新町)を中心にした城下町一帯で開かれる。10回目となる節目の音楽祭。日本各地のほか、台湾も含めて98グループ約600人が城下町に集い、それぞれの個性を表現しながら多彩な音色を響かせる。
地元丹波篠山や丹波市のほか、県内各地、遠くは台湾や岩手などから障がいのある人、ない人を含めてさまざまなアーティストが参加する。
今年が阪神・淡路大震災から30年となったことから、震災以降、歌い継がれてきた「しあわせ運べるように」を作詞・作曲した元小学校の音楽教諭、臼井真さんが同ホールでのフィナーレ(午後4時20分―)に登壇。講演するほか、会場と一緒になって同曲を歌い上げる。
また、「受験生ブルース」などの代表作で知られ、同音楽祭の常連でもあったフォークシンガーの高石ともやさんが昨年8月に他界したことを受け、青山歴史村会場で参加アーティストらが追悼のステージ(午後2時10分―)を行う。
他にダウン症で、右の手首から先が欠損しているもののピアニストとして活躍している鈴木凜太朗さん(伊丹市)が出演。鈴木さんと交流している台湾の人たちもサックスなどを披露する。
「みんなちがって、みんないい」をテーマにした音楽祭は2001年に仙台市で始まり、全国各地に広がっている。丹波篠山市では15年から住民らが実行委員会を組織。市も共催し、コロナ禍で中止した年以外は毎年開催している。全国の音楽祭の中で丹波篠山は2番目ほどの規模になっているという。
10回記念となることから、仙台、熊本、鹿児島県鹿屋、台湾・台中、三田の各市から音楽祭の代表が来篠して花を添える。
実行委員長で車いすのシンガーソングライターの小西達也さん(62)=姫路市=は、「年々、障がいのある参加者の数が増えている。自分は人前に出るのは嫌だったが、ギターを持って歌い出すと見てもらいたくなる。自立の形は人それぞれだが、障がいのある人が『外に出てみよう』という気持ちにさせることに音楽祭が役に立っていると思う」と笑顔で話している。
会場は▽田園交響ホール西側駐車場▽ホール玄関▽市役所第2庁舎前▽大正ロマン館中庭▽大手前南駐車場▽日本キリスト教団篠山教会▽円応教篠山教会▽青山歴史村中庭▽旧小島うば車店―。午後3時半からホールでフィナーレを迎える。