兵庫県丹波篠山市観光協会と丹波篠山国際博実行委員会は、狩猟が解禁された15日、冬の風物詩「ぼたん鍋」をPRするイベントを猪肉専門店、おゝみや城下町前広場で開いた。猪汁500食を観光客に振る舞ったり、猪肉を使った焼き肉やフランクフルトなどを販売したりして、本格シーズンの到来を知らせた。
猪肉をボタンの花のように美しく盛りつけて提供し、地場産野菜と共に、みそをはじめとするだしで煮込むぼたん鍋は、丹波篠山の発祥。市内では約40店が提供している。ただ、2021年度から同市内でも感染が確認された豚熱の防疫上の観点から、今年度も丹波篠山産の猪肉は市場に流通しない。そのため、市内各店舗は感染エリア外から仕入れた良質の猪肉を提供している。
PRイベントでは、同協会副会長の山下由晶さんが、「クマの出没が毎日報道されているが、ジビエをおいしく食することによって、山の保全、文化の発展につなげていけたら」などとあいさつ。振る舞いの猪汁には長蛇の列ができ、猪肉がたっぷりと入った器を受け取った来場者たちは、立ち上る湯気と共に丹波篠山の冬の味覚を頬張っていた。
神戸市から妻とわが子の3人で訪れていた男性(32)は、今年の冬、丹波篠山でキャンプをした時に食べた猪肉の味が忘れられなくて、やって来たという。「猪肉は、ジビエにしては嫌なくせがなく、味に深みがあっておいしい。ぜひ、お土産に買って帰りたい」と話していた。
丹波篠山は、静岡の天城、岐阜の郡上と並んで、猪肉の3大猟場。猪肉が縄文時代から食べられていた歴史があることなどから、07年に農林水産省主催の「農山漁村の郷土料理百選」に選定され、21年度には文化庁が地域に根づく食文化をPRする「100年フード(伝統部門)」に認定された。



























