テナーサックス奏者 足立茂樹さん(丹波市)

2025.12.21
たんばのひと

音楽で地域盛り上げたい

聴く人の人生にそっと寄り添う音色を奏でるテナーサックス奏者。「主役でなくていい。脇役でいい」。ソロでは「バラード屋シゲキ」を名乗り、ギターとのデュオ「二人囃子」、ボーカル、ドラムを迎えた「四人囃子」と形を変えながら、地域のイベント、敬老会などに多数出演。そのシーンに合った音楽を届けている。

20歳の頃、サックスの音の響きにあこがれを抱き、以来、独学で腕を磨いてきた。7年前、音楽をする自分を応援してくれた母が他界。「音楽を続けることが親への恩返しであり、自分が生きている証しなのでは」と意識し始めた。社会はコロナ禍に突入。「密」を避ける屋外でと、ギターを弾く音楽仲間に声をかけ、2020年に黒井城跡でコンサートを開いた。「二人囃子」のデビューであり、地域での音楽活動が本格化するスタートでもあった。

丹波にも自分のようなアマチュアミュージシャンや、バンドもたくさんあるのに盛り上がりに欠けると感じ、音楽を通じて地域を活性化させたいとの思いで活動。ソロで活動する人と組んだり、バンドに加わったりと、横のつながり、人との出会いを大切に演奏の場を広げている。JR久下村駅前でこのほど開かれた「ランタン祭り」では、夜空に浮かぶランタンの下でBGMを演奏。「ランタンが主役の催しだが、聴いた人に喜んでもらえた。『脇役でいい』が体現できた」

活動する中で縁ができ、プロ奏者の稲屋浩さんに師事。直々に“音の表情”を学んでいる。「人生、何が起きるか分からない」と驚く。「サックスは特別なものではなく、誰でも簡単に楽しめる楽器だということも広めたい」。50歳。

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