定点見直し「実態反映」 季節性インフルエンザ 流行しにくい地域が「警報」に?

2025.12.29
丹波市丹波篠山市地域地域注目

最近の季節性インフルエンザの流行動向

長年、統計上は季節性インフルエンザ(インフル)が流行しにくいとされてきた兵庫県丹波地域の患者数がこの冬、全県より早く「警報」に到達する異例の展開をたどった。丹波保健所が4月に、患者数報告を求める医療機関「定点」を変更したことが理由。インフル患者が少ない施設を外し、多い施設に変わったと見られる。同保健所は「より実態を反映できるようになった」と捉えている。インフルが流行しにくい地域という「都市伝説」ならぬ「田舎の風説」は、定点選定の問題、調査の綾により生じたものだった。

インフルの流行度合は、感染症法に基づき、国立感染症研究所などが全国一律のルールで毎週行う「感染症動向調査」で見る。県が毎週、週報を公表する。全医療機関からの患者数報告ではなく、あらかじめ定めた「定点」からの患者数報告を定点数で割り、1定点当たりの患者数が20以上で「注意報」30以上で「警報」になる。

定点からの発生報告が多いと流行し、少なければ流行していないことになる。丹波地域の定点は6カ所と少なく、これまでインフル患者の少ない定点が、全体を押し下げていたと見られる。

丹波地域と近隣市町の定点当たり患者数

同保健所は定点の入れ替えは認めた。施設名は非公表だが、両市医療関係者への取材で、複数施設が入れ替わったことが分かった。変更後の定点に患者が多く集まる施設が含まれたと見られ、11月13日に全県より早く「警報」に達し、以降も全県を上回る流行が続いていると見られる。

感染者数が全国(74・4人)、全県(64・9人)共に過去最多となった昨年末、丹波地域は「注意報」(20・5人)と、「警報」に達しなかった。丹波市医師会独自の定点調査(県と定点は異なる)は55人で過去最多に匹敵する流行水準。隣接市町を含めても極端に数値が低かった。

今年1月、「県の定点選定に問題があるのでは」と丹波新聞社が指摘。4月から新たに急性呼吸器感染症が5類感染症として調査項目に加わるタイミングで丹波保健所が丹波、丹波篠山の両市の医師会に相談の上、インフルの定点を変えた。

厚生労働省は今春、全国5000の定点を3000に削減。県内は199が163に減った。丹波地域は6のままで、増減はなかった。

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