最高位ダブル受賞 兵庫畜産共進会で兵庫田中畜産 「何度頂いてもしびれる」

2025.12.26
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名誉賞を受賞した去勢牛の「和若」号と記念写真に納まる兵庫田中畜産の田中社長(右)と長澤克幸専務=加東市で(提供)

兵庫県立播磨中央公園でこのほど開かれた但馬牛の生体品評会「第107回兵庫県畜産共進会」で、味間奥の兵庫田中畜産(田中久工社長)が出品した去勢牛「和若」号が最高位の名誉賞を受賞。さらに、雌牛の部でも「つつじ2―2」号が最高位の最優秀賞1席を獲得し、史上2人目となる去勢と雌の両部で最高位ダブル受賞を達成した。

名誉賞を受けた去勢牛は、共進会後の競りで、同共進会歴代最高額の2000万1000円で落札され、雌牛も1000万1000円の高値を付けた。3年ぶり6度目の名誉賞を受けた田中社長(50)は、「名誉賞は県内130軒近くの牛飼いが一番に目指すところ。本当に取れない賞なので、何度頂いてもしびれる」と喜んでいる。

 

県畜産共進会で名誉賞と雌牛の部で最優秀賞1席のダブル受賞を達成した兵庫田中畜産の田中社長=兵庫県丹波篠山市北新町で

同実行委員会主催(事務局・JA全農兵庫)。世界的に名高い但馬牛の品質を生きた状態で審査する大会で、各JA管内の予選を通過した牛が出品され、去勢の部32頭、雌の部19頭が審査を受けた。

和若号は、生後32カ月で体重753キロ。つつじ2―2号は生後40カ月で722キロ。「健康状態が現れる毛並みは上品で、肩から腰にかけて均等に肉が付き、きれいに肥えてくれた」と田中社長。一般の相場は1頭当たり230―240万円といい、去勢牛では10倍近い高値が付いたことになる。

和若号は飲食業を展開するホライズン(本社・滋賀県大津市)、つつじ2―2号は扇矢精肉店(神戸市)が落札した。和若号、つつじ2―2号共に、と畜後の肉質が最上位の「A5ランク12番」に格付けされ、名実共に最高級の但馬牛(神戸ビーフ)となった。

同社は第89、90、91回と、第103、104回で名誉賞を受けており、昨年(第106回)は去勢の部で最優秀賞1席に入るなど高い実績を誇る。

現在、味間奥と味間北の2カ所で計約400頭を育てる。近年の猛暑に対応すべく、畜舎の屋根や壁を白くして温度を上がりにくくし、効率よく空気が循環するよう天井を高くしている。水噴霧装置や巨大扇風機も細かく設置。外気が流入する間口全てをカーテンで覆うことができるため、冬の寒さ対策も万全。自動給餌機を備え、飼料は完全オーガニック。地下250㍍からくみ上げた地下水を使用するなど、牛がストレスなく過ごせる環境を整えている。

このほど、丹波篠山市役所を訪れ、堀井宏之副市長に最高位ダブル受賞を報告した。「但馬牛には1300年の歴史があるが、自分が携わることができる時間は長い歴史の中でほんのわずか。今後も但馬牛を後世に残していくため、他の農家と切磋琢磨しながら、より良い牛を育て、さらに名声を高めていきたい」と決意を語った。

堀井副市長は、「丹波篠山の畜産業のリーダーとして活躍していただき、大変誇りに思う。これからも丹波篠山牛を盛り上げていってほしい」と期待していた。

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