
毎月8日(原則)、薬師堂で法要を営んでいる薬師・観音講=丹波篠山市今田町黒石で
当たり前にありすぎるけれど、住民が大切にしていきたいもの「世間遺産」―。丹波新聞では、兵庫県丹波地域の人や物、景色など、住民が思う”まちの世間遺産”を連載で紹介していきます。今回は、兵庫県丹波篠山市今田町黒石の「薬師・観音講」と「耳病治癒祈願の小石」です。
集落を見渡せる高台に立つ丹波篠山市今田町黒石の薬師堂。本尊の薬師如来は高さ約30㌢の木像。古くから耳の病気の治癒に御利益があるとされ、祈願に用いたとされる穴の開いた小石が伝わっている。「薬師縁日」の毎月8日、集落の60―70歳代の女性で組織した「薬師・観音講」(大上ちず代代表)の9人が、薬師堂とその周辺の掃除を行った後、法要を営み、大切に祭っている。

本尊の薬師如来像と、耳病治癒に御利益があると伝わる穴の開いた小石
耳病治癒に御利益があるとされる小石は2つあり、一つは直径4㌢ほどで扁平。もう一つは手のひらサイズのおむすび型で、両方共に貫通穴が開いている。この小石のいわれについて知る者はいない。
今田町史によると、同薬師堂は、江戸中期の「丹波国多紀郡村々寺社帳」に初めて記述が見られるが、創建年は不詳。最初は小さな祠だったが、1920年(大正9)に堂を建立。現在の薬師堂は1984年(昭和59)に再建したもの。
講の女性たちは、「お薬師さんは、村の先輩方から脈々と受け継がれてきた地域を守る仏様。毎月、村の安寧と家族の健康、幸せを祈っている」と話し、「単にお勤めとしてやっているのではなく、こうして定期的に集まることで、親睦を深める良い機会になっている」とほほ笑む。


























