「のり~な」充実へ研究 山間部走るデマンドバス 大学生が高齢者をサポート

2026.01.09
ニュース丹波市地域地域注目

ウイング神姫の篠山営業所で路線バスに乗り換える参加者=兵庫県丹波篠山市糯ケ坪で

大谷大学(京都市)社会学部の学生たちが、兵庫県丹波篠山市内全域で運行されているデマンドバス「のり~な」を、より乗りやすく、長く続いていく公共交通にしようと研究活動に取り組んでいる。このほど、市多紀支所を出発し、途中で路線バスに乗り換えて市街地を目指す「乗継体験会」を実施。福住地区のお年寄りが予約を取るのをサポートし、乗降車を共にした。体験したお年寄りの意見、感想も聞き取り、市地域公共交通会議を通して運行の充実に反映させる。学生らは「慣れれば簡単」とし、まずは一度使ってみようと呼びかけている。

乗継体験をした感想や意見を出し合う参加者と学生たち=兵庫県丹波篠山市東新町で

活動しているのは、同学部コミュニティデザイン学科の10人。講師の野村実さん(34)は同市出身で、同市地域公共交通会議会長を務める。

2024年に策定された市地域公共交通計画の施策の一つに「情報発信」が位置付けられ、利用機会の創出や運行・運営状況の情報発信が求められている。この課題解消の一端を大学が担うこととし、地域連携活動の一つとして地元のまちづくり協議会の協力を得ながら取り組みを始めた。

学生らは地域の人、文化、町並みなどに触れながら土地感を体に染み込ませ、公共交通の実情や「のり~な」の制度についても学習。乗車体験会も2度実施した。

体験会は今年度2回目。9月には、福住地区近隣をエリアに実施し、15人ほどが参加した。今回は、ウイング神姫(路線バス)との乗継割引制度の認知、普及を目的に「乗り継ぎ」に主眼を置いて実施。「乗り継ぎが難しい」という住民の声を受けて企画した。

福住地区まちづくり協議会の呼びかけに応じた高齢者4人が参加。学生にサポートしてもらいながら予約を取り、同社篠山営業所(糯ケ坪)で路線バスに乗り換え、市街地で降車した。それぞれに買い物をしたり、薬を取りに行ったり、町散策を楽しんだりし、学生とも和やかに交流した。

体験後の参加者との意見交換では、「乗り心地が良かった」「乗り継ぎが体験できて良かった」と好印象を得た半面、「運行時間が午後4時までと短い」「予約する際に、乗り継ぐバスの時間が分からない」といった声も聞き取った。

野村さんは、「われわれは誰も移動に困らない地域社会を目指して研究している。地域の人に協力してもらいながら、お出かけしやすい地域づくりを目指す」とあいさつした。

普段は自家用車を運転しているという男性(82)は、「いずれ免許を返納する。今のうちに慣れておこう」と参加した。「予約は、作業としては簡単だったけれど、まだ自信はない。すぐ忘れるから何回か乗らんとあかんな」と話していた。

男性と同乗した佐治夏輝さん(2年)は、「『のり~な』は、アプリはどんな人にも使いやすく作られており、電話でも予約できて親切な制度だと感じている。デマンドバスは都会で運行されている例もあり、地域性は違うけれど、全国に通用するモデルとして発信できるようになれば」と話す。

岡田紗奈さん(3年)は、昨年度からフィールドワークに参加し、研究成果が今年2月に行われた「丹波篠山研究発表会」(丹波篠山研究会主催、市など共催)で市長賞を受賞した。「公共交通は、交通手段のない人が乗るもの、ではない。免許を返納して『これからどうしよう』ではなく、予約時のスマートフォンの使い方も含め、返納する前から徐々に慣れていくことが大事ではないか」と提言している。

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