
「声」で伝える平和の尊さ
戦争に関連した絵本や証言集、文学作品を朗読して広く伝える会「大紫」の発起人。戦後80年だった昨年、3人で立ち上げ、語り継ぐべき証言などを朗読し、地域FM「805たんば」で放送した。太平洋戦争を経験した肉親から聞かされた、想像を絶する悲しみをかみしめ、「体験者がおられる今のうちに聞き取り、伝えていかないと」との思いを持ち続けている。
母が結婚を約束していた男性は、特攻隊員として命を散らした。当時、特攻を扱ったニュース映画が封切られ、夫になるはずだった人が映っているかもしれないと考えた母は、映画館に足を運んだという。「涙で映像を観ることができなかった」と、母から聞かされたことを鮮明に覚えている。
父方の祖母は戦後、自身の子どもたちを連れて満州から引き上げた。後に残留孤児の境遇を知って涙を流していたという。戦争が引き起こす不条理を肉親の声で聞いた経験が、今の活動の源になっているという。
静岡県出身で、元図書館司書。「肉声」にこだわる理由がある。大学の図書館に勤めた際、絵本の読み聞かせをした大学生が涙を流したという。「肉声は響くと思った。グッとくるものがある」と振り返る。
「戦争を知らない世代が、戦争を起こすのでは」との思いが胸をよぎるという。23日、市島中学校の平和学習に招かれ、戦争の証言集などを朗読する。「生活の中に火種はあるし、それを消す要素もあると思う。自分の主張はしたらいいけれど、火種をつくらず、落としどころを見つけることも学んでほしい。感謝の思いを持つことが、平和につながっていくと思う」。67歳。


























