ごみ袋に「記名」なぜ? 市「出したごみに責任を」 分別徹底で理解求める

2026.02.15
地域注目

記名欄がある丹波篠山市の指定ごみ袋。出されていたごみは無記名だった=兵庫県丹波篠山市内で

読者の皆さんから寄せられた疑問を記者が調査して応えるコーナー「調べてくり探」。今回はごみ袋の問題です。「兵庫県丹波篠山市では指定ごみ袋に名前を書く欄があり、ずっと書いてきたけれど、よく考えれば個人情報が入っているし、犯罪者が狙うかもしれない。できれば書きたくないのだが」(市内女性)―。言われてみれば確かに。一方、早朝のごみステーションには、名前が書かれた袋、書かれていない袋があるものの、ほとんどが収集されている。記名の意味は何なのか。調べてみました。

同市の指定ごみ袋は、▽もえるごみ=白色▽プラスチック容器包装・プラスチック製品=ピンク色▽ペットボトル・缶・ビン・金属=緑色▽埋め立てごみ=黄色―の4種類。全てに記名欄がある。

◆ごみに責任

市環境みらい部によると、記名は「ルール」。趣旨は、「自分が出したごみに責任を持ってもらう」ため。読者の「誰のごみか知られるのが嫌だ」という声があることを伝えると、「気持ちとしては理解するが、むしろ中を開けないために記名してほしい」という。

その理由はこうだ。例えば、異物が入っていたり、決められた収集日と違う曜日にごみが出されていたりすると、収集事業者が収集せず、理由を記入したシールを貼る。その後も出し主が持ち帰らなかった場合、自治会の環境委員などが対応することになる。その際、名前が書いてあれば、袋を開けずに出し主に伝えることができるが、外から見て誰のものか分からないと、場合によっては袋を開けて、出し主が分かる情報を探すことになる。

◆ルールは昔から

市によると、旧町時代のごみ袋も記名式。市に合併する1999年以前からのようで、「おそらく指定ごみ袋ができた当初からでは」という。

記名状況は、「肌感覚では3分の2ほど」。異物が入っている袋ほど記名がないものが目立つという。市は、「よほどのことでない限り、袋を開けてまで出し主を特定することはないが、記名があれば開けなくて済む」としつつも、「名前がない場合でも明らかに異物が入っていることが分かったり、収集日と違う日に出されていたりするなどの場合をのぞいて、基本的には収集する」という。

一方、名前が書いてあったことで良かったケースも。「誤って入れ歯を入れてしまったため、探してほしい」という連絡があり、焼却炉に入る直前で袋を見つけたことがあった。発見の決め手は記名だった。ほかにも財布や結婚指輪などを入れたという連絡が年に1度ほどはあるそう。

◆分別の徹底

市が言う「責任」の主目的は、「分別の徹底」。資源の再利用はもちろんのこと、例えば可燃ごみの中に金属などが交じると、ごみを焼却する市清掃センターの設備が故障しかねない。また、カセットボンベやリチウムイオン電池などが入っていると火災につながる。

実際、同センターでは2023年、発火性の異物が原因とみられる火災が起き、焼却が一時停止した。大事には至らなかったが、設備が破損した場合、修繕のため、長期間、ごみの受け入れを停止したり、ごみの処理を他自治体に委託したりすることで億単位の費用がかかるため、市民生活や市の財政にも悪影響が出る。

今年8月にもリチウムイオン電池が原因とみられる収集車の火災が起きている。

埼玉県川口市では今年1月、焼却施設で火災が発生。受け入れが全面再開したのは10月だった。

◆実は少数派

県内を見ると、記名欄があるのは41市町中、約3割と少数派だ。都市部などではマンションでまとまっている場合や、戸別収集などもあるため、記名が必要でないケースがある。

丹波地域と同じ地方部のある市は、以前から記名欄がないが、担当課によると、「もともとないが、リサイクル率は良く、問題はない」と話す。別の市は、記名欄ではなく空白の欄があり、「自治会ごとにその欄をどう使うか決めてもらっている」という。また、「今からルール化すると反対の声が起きそう」という市もあった。

ただ、長野県が行った調査では、ごみ袋の有料化や記名欄を設けている自治体は、行っていない自治体と比べてごみの排出量が少ないというデータがある。

丹波篠山市は、「これまでルールにしてきたため、今、廃止するとごみに対する責任感が薄れてしまうかもしれないと危惧するため、現状では引き続きお願いしていきたい」とする。

調査を依頼した読者に市の考えを伝えると、「記名でごみに責任を持つことは分かった」としつつ、「ストーカーなどがごみから情報を得ることもあると思う。記名がなくとも分別を徹底できるよう、市民の意識を高めていくことが大事ではないか」と話していた。

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