
舞台美術の感性 土に込め
テレビ美術の世界の第一線で活躍し、そこで培った感性を生かして定年後の第二の人生を丹波焼陶工として歩み出した。北欧デザインからインスピレーションを受けているという造形に、白や青に発色するマット調の釉薬を施して仕上げた「日常になじむクールな現代食器」を手がけている。
丹波焼の窯元に生まれる。幼い頃、父の工房でよく遊んでいたこともあり、中学生の頃には、ろくろで茶わんやコップを作れるようになっていた。
篠山鳳鳴高校時代、華やかなテレビ業界に憧れた。強く影響を受けたのが、当時放送されていた音楽番組「ザ・ベストテン」や「夜のヒットスタジオ」。熱視線は、きらびやかなステージで熱唱する歌手に、ではなく、楽曲の世界観を具現化した舞台美術に注いでいた。
武蔵野美術大学へ進学し、大学院を修了後、毎日放送(MBS)に入社。セットデザイナー、アートプロデューサーなどとしてさまざまな番組やイベントのセットをデザインしてきた。
多忙なテレビ局の仕事に明け暮れていた50歳の頃、「定年後の人生を今のうちに考えておいたら」との妻の言葉で、梅田の陶芸教室に通うようになった。2020年、定年を機に亡父の工房で本格的に陶芸を開始。ギャラリー「HIROO_STUDIO」を開設し、一昨年には丹波立杭陶磁器協同組合員となった。
「テレビのセットと同様、誰も見たことがない、誰も作ったことのないデザインを模索中。実用的でありながらインテリアとして飾ってもらえる装飾美を兼ね備えたやきものづくりに挑戦していきたい」。65歳。


























