責任を負う

2015.02.21
丹波春秋

 「30歳になったとき、どんな仕事に就いているか」。この質問に、アメリカの高校生は医者や弁護士、大学教授などと答えた。一方、日本の高校生で最も多かったのが「中小企業の従業員」。日本の高校生は現実をしっかり見つめていると言えるが、責任ある地位に就くことを敬遠しているとも推測できる。▼責任を負う。それは咎(とが)を責められることという意味合いが強くなっている昨今、責任を敬遠したい気持ちもわからないではない。▼しかし、哲学者の鷲田清一氏によると、「咎を責められることではなく、何かに応じることができるということ」が、責任という言葉の芯らしい。他人からの呼びかけや促しにきちんと応える用意があること、用意を整えることが、責任を負うことだという。▼報道によると、選挙権年齢が18歳以上に引き下げられる見通しだという。政治に10歳代の意見を求めることになった。それは10代に対する社会からの呼びかけや促しである。これに応えられるよう10代は用意しないといけない。それも責任だ。▼折しも高校の卒業式シーズン。18歳の旅立ちだ。今後、さまざまな場面で責任を負うことになるはず。その第一歩として選挙権の行使という責任を負うことになった。社会に対して目を見開き、見識を高める用意を整えてほしい。(Y)

 

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