17番

2015.04.09
丹波春秋

 選抜高校野球決勝戦、3対1とリードされた9回表1死、東海大四高はランナーを2塁に置いて代打酒本を送る。「東海大四高の背番号17番です」とアナウンサー。8回裏には敦賀気比の17番、松本が前日の準決勝戦での2打席連続満塁本塁打に続いて、3本目の2点本塁打で均衡を破っている。▼こちらの17番は初打席らしき雰囲気だが、「もし彼も本塁打を打って同点になったら、さぞかし劇的だろうな」と想像しながら画面に見入っていたが、残念ながら三振に終わり、試合の行方は決まった。▼それにしても、17番がこれほど脚光を浴びた大会はなかった。松本は京都の中学時代は4番ピッチャーだったが、高校では外野に転じ、一時は故障で野球をあきらめかけたこともあったそうだが、毎日千本の素振りを怠らなかった。その彼の調子が悪くないと見極めてチャンスを与えた監督もさすがである。▼閉会式での東海大四高ナイン。泣き崩れる選手の脇で1人クールな表情の大沢投手はきっと唇をかんでいた。17番の酒本君は何を思っていたろう。そしてもう1人、頭をよぎったのは、大阪桐蔭の10番投手、準決勝で大量リードされた後でようやく出番が来た柏原出身の松井君。また夏に頑張れ。▼決勝戦しかテレビを観られなかったが、球児の夢を大いに分け与えられた。(E)

 

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