兵庫県篠山市今田町下小野原(前川博康自治会長、70戸)の公民館で1月9日、「ゴズエ」と呼ぶヌルデ(ウルシ科)の木で作った杭で机上をたたき、家内安全や五穀豊穣などを祈願する風変わりな法要「堂の講(どのこ)」が行われた。
同集落の住民約30人が参加。シキミの葉やご幣、財物を潤すご利益があるとされるお札「牛玉宝印」などを飾り付けたゴズエと、同じくヌルデでこしらえた短い棒をそれぞれの手に持ってスタンバイ。祭壇にまつった地蔵菩薩の木像に向かって経を唱える和田寺の武内泰照副住職の合図で、一斉にゴズエと棒を机上に振り下ろし、室内にけたたましい音を響かせた。
江戸初期以前から伝わる新年の行事で、もともとは、豊作祈願や虫除け、雨乞い、牛馬の健康などを祈願していた年中行事。机上を激しくたたく動作は、祈願の強さや牛玉宝印を授けてもらえた喜びなどを表現しているという。
続いて全員で般若心経を唱えた後、当番人が参加者一人ひとりにお神酒や洗米を配り、硯の墨をつける仕草をしながら黒色の短い棒を額、あご、鼻の順に3回繰り返して押し当てる「いんのこ(印の功、印の幸)」の儀式を行い、無病息災などを祈った。
ゴズエは各自で持ち帰り、田んぼに水を引き入れる「水口」や家の敷地内に立てる。