豪雨から一夜明けた8日、多くの被害が出た兵庫県丹波市では、床上、床下浸水した被災住民らが泥をかき出し、生活の復旧に向け汗を流している。また、冠水し、水が引いた農地では、生産者が流入したごみの除去作業に追われた。通行止めは8日午後6時に、「県道篠山山南線」(川代付近)で解除され、丹波市、篠山市のすべての県道は通行可能となった。
床上浸水被害に遭った同市春日町山田の金川正樹さん(65)・保子さん(60)宅では、親戚や地域住民らも協力し、流入した土砂をかき出す作業に追われた。ちり取りを使って泥をすくってはバケツに入れる作業を繰り返した。
金川さん宅の西側を流れる側溝に山から流れ出た土石が堆積し、流れの向きを変えた水が自宅を襲った。4年前に発生した「丹波市豪雨災害」時にも床上浸水被害に遭い、夫妻は「あの時、『50年に一度の災害だね』と話をしていたのに。被害は前回よりひどい」と下を向いた。
土砂は床上1センチほど堆積したほか、床下にも多く流れ込んでいる。今後は床下の土砂をかき出す作業が待っている。「2回目の浸水となると、ショックで立ち直れそうになかったが、周囲の人が力を貸してくれたので心の支えになっている。命があるのが何よりだと思う」と話した。
同市氷上町新郷で丹波黒大豆を栽培する男性(69)は、のり面にたまった大量のわらやビニール容器などに目を白黒。「用心して自宅にこもっていた。一面が海のようだったと聞いたが、こんなことになっているとは」と驚いた。
順調に育っていた黒豆の苗も所々流され、株の間隔が広く空いた。すっぽり水に浸かった苗に、「どの程度生育に影響が出るのかまだ分からない」と話していた。