大規模な前方後円墳の車塚古墳、紅葉の名所の洞光寺を有する篠山市の雲部地区。人口は900人を切り、高齢化率は40%を超える。そんな地域に誕生した「里山工房くもべ」が3周年を迎えた。▼閉校した雲部小学校の校舎を活用し、13年秋にオープンした。地元の女性たちが地元産野菜などを生かしてつくった料理を提供しているカフェ、丹波木綿や革工芸、靴などの工房のほか、地元野菜の直売所がある。かつての職員室や校長室、教室が丸ごと生まれ変わった。▼テレビでも紹介され、週4日運営のカフェの来客数はオープン以来、約3万1000人。近畿はもとより遠方からも視察があり、最低でも月に2件あるという。▼半世紀以上前に建築された校舎のレトロな趣。周囲の農村風景。活用が比較的しやすい、小規模校ならではのコンパクトな校舎。センスの良さ。そして何よりも施設を支える人たちの力。これらが成功の要因として考えられる。▼コンパクトとはいえ、校舎だっただけに建物自体としては大きく、維持管理にコストがかかり、経営的にはまだ苦しいらしい。それでも世代間交流や地域外との交流が促され、地域にひと筋の光が差し込みつつあるという。各地で閉校校舎の活用が課題になっているなか、その模範例として歩み続けてほしい。(Y)