大分県の小さな島、姫島で村長選挙が61年ぶりに行われたというニュースが話題になった。73歳の現職が父子続けてずっと無投票で選ばれていたのに、Uターンしてきた元NHK職員が異を唱え、選挙戦に。▼村民の声を集めたテレビ画面に、「穏やかにやってもらいたかった」という現職支持らしき高齢女性。「選挙は穏やかでない?」と驚いたが、61年前は村を二分する選挙で、村人全員がどちらの陣営につくか疑心暗鬼に見舞われたと聞き、「そのトラウマが今も」と妙に得心。▼人口2000人余りの漁業の村は、若者がどんどん流出してピーク時より半減。役場に200人の職員を採用し、安い給料で仕事をシェアしているという。▼現職の出陣式に大勢の人が集まったのに対し、新人候補の街頭演説には誰も姿を見せず、「カーテンの陰で耳を傾けてくれている人が少なくないのでは」と同候補。結果は、2倍の票を取って現職が勝ち、「私も初めての経験でとまどった。民主主義に選挙が大事なことはわかるが、こんな小さな村ではやはりない方がいい」と宣言。落選した新人は「村を変えていくにはやはり人も変わらないと。そのことを知ってもらうために一石を投じたのは確か」。▼4年ぶりの市長・市議選挙を迎えた丹波市民には、姫島村民の意識は無縁?(E)