白鵬と共に次代の大相撲を背負うと期待される外国人力士、把瑠都(ばると)。彼の出身国エストニアはロシア北西端に隣接、バルト海をはさみフィンランドやスウェーデンの対岸にある。▼ラトビア、リトアニアと並んでいわゆるバルト3国を形成し、1940年(昭和15年)以降はソ連の圧政下にあったが91年、その崩壊と共に念願の独立を果たした。と言っても日本ではほとんど馴染のない国だが、実は70年前、昭和11年の丹波新聞にその名が登場する。▼「今は冬。氷や雪の上を飛び回っています。私達は日本の養蚕について興味を持っています。どうして虫から絹が作られるか教えて下さい。火山とはどういうものか、それも不思議。こちらの特産、亜麻から作るリネン製品はよく晒してあって、真っ白で美しいです」。▼エストニアからこんな手紙が葛野(氷上西地区)少年団に届き、紙はさみを送られたお返しに、同少年団から蚕の紹介図書や絹本、刺しゅう、押し葉、富士山の絵葉書、日本人形などを送っている。▼人口150万人の国。ひょっとしたら把瑠都のおじいさんかおばあさんがその文通仲間にいたかも知れない。それにしても、今よりはるかに国際化していなかった頃、どういう縁でこんな交流があったのか。事情を知る読者がおられたら、お教え願いたい。(E)