文化人類学に「観光」
阪南大学教授 足立 照也 (あだち てるや) さん (和泉市在住)
1952年 (昭和27年) 丹波市 (春日町多田) 生まれ。 柏原高、 オーバン高、 ワシントン大卒。 大阪大大学院人間科学研究科修士課程終了。 大阪体育大などを経て97年から阪南大。
大阪府松原市にある阪南大に西日本初の観光学科を擁する国際コミュニケーション学部が発足した時から招請され、 現在学部長を務める。 専門は文化人類学。 フィリピンや中国の少数民族に伝わる祭りや儀式などを研究していたが、 そこから派生してスポーツや、 従来は文化人類学の対象外だった観光の分野にまで踏み込んだ。
春日町が進めていた柏原高との交換留学でアメリカ・シアトル郊外オーバンの高校を卒業し、 さらにワシントン大に進学。 ネイティブ・アメリカン (先住民) 支援のボランティアに関わって彼らの彫刻や神話、 歴史に興味を持ったことから、 文化人類学に出会った。
大阪で国立民族学博物館を作る準備のために同大のミュージアムを視察に来た梅棹忠夫氏 (後に同館長) の縁で、 帰国後はその関係の仕事をしたり大阪大の大学院で学んだ。 「高校の交換留学には全然乗り気じゃなかったんですが、 オーバンから我が家まで訪ねてこられたウェーブさんという方がとても感じの良い人だったので、 気持ちが傾いた。 もしその出会いがなかったら、 アメリカに渡っていなかったし、 日本やアジアに目を向けることもなかった」 と振り返る。
柏原ロータリークラブ推薦で奨学金を受けたり文部省の派遣留学生としてフィリピンの小島でフィールドワークに取り組んだことも。 椰子の木で作った家に新婚の妻と住み、 「台風で屋根が吹き飛び、 傘をさして雨風をしのいでいるところへ、 村人がスープを持ってきてくれた」。
「観光は自分の文化を知り、 異文化理解を深めるための文化装置。 丹波地域は資源はそろっているが、 いかに点から線、 面に広げていくかネットワーク化が課題」とアドバイス。「子供の頃は黒井の城山まで毎日走り回っていた。 丹波の土を踏んで山の匂いをかぐと元気が出ます」。
(外野英吉)