子どもの感受性磨く
国立国会図書館国際子ども図書館館長 村山 隆雄 (むらやま たかお) さん (東京都在住)
1948年 (昭和23年) 大阪市生まれ。 九州大学理学部卒業、 同大学大学院理学研究科化学専攻修了。 73年、 国立国会図書館入館。 04年関西館資料部長を経て今年4月より現職。
東京・上野公園の北のはずれに、 明治時代に建てられたレンガ造りのしょうしゃな建物がある。 もとは帝国図書館として設計されたものが、 5年前に 「国際子ども図書館」 として保存再生された。 「急激な少子化と国語力の低下など、 子どもをとりまく環境の悪化に歯止めをかける」 ねらいだ。
国立図書館に納められる児童書をこちらに移管し、 現在の蔵書約24万冊。 日本語の本を中心に、 外国語に翻訳された日本の本、 外国の児童文学、 国内の教科書などを取り揃え、 「児童書のナショナルセンター」 と 「子どもと本の出会いの場」 としての使命を果たそうとしている。 村山さんは 「国際」 と付いた意味を、 「日本の子供には異文化理解の促進を、 世界の子どもたち、 特にアジアの子どもたちに日本についてもっと知ってもらうこと」 と受けとめている。
異文化理解の促進といっても 「まず、 日本人として豊富な日本語力と、 感受性の形成が優先されるべきですね。 子どもの本を選ぶ、 というのはとても難しいことなので専門の職員が長く読み継がれてきた絵本や読み物、 子どもの探究心を刺激し、 科学への興味をかきたてるような本を選び提供している」 と言う。
日本の絵本は世界標準でも高い水準にあるそうだ。 ミュンヘンの国際児童図書館を訪問したとき、 「ここで一番人気があるのは、 日本人作家 『いわむら・かずおさん』 の絵本ですよ」 と聞かされ、 「うれしかった。 普遍性があるのですね。 浮世絵や日本画など、 線を大事にする伝統が今に生きているのでしょう」。
父が氷上町の出身。 「渡辺紙工業に勤めていた父の転勤で、 大阪で生まれ、 九州で育ちました。 ホームページもおもしろいですよ。
http://www.kodomo.go.jp
図書館間貸し出しもできるので丹波からもどうぞ」 とのこと。
(上 高子)