システム開発を指揮
野村総合研究所上級システムエンジニア 辻 重信 (つじ しげのぶ) さん (横浜市在住)
1968年 (昭和43年) 丹波市氷上町生まれ。 柏原高校、 同志社大学文学部卒業。 91年野村総合研究所入社。 保険のシステム作り一筋に現在に至る。
野村総合研究所は、 リチャード・クーなどの看板スターによる経済評論活動で広く知られているが、 辻さんたちが従事するシステム開発部門が総売り上げの大部分を占めているそうだ。 「私のようなサラリーマンがインタビューを受けてもいいんですか」 と何度も念を押す。
辻さんは、 損害保険関係の企業を顧客として、 受注からシステム設計、 納品まで6人のチームリーダーとして指揮をとる。 「売り上げを伸ばしたい、 コストを削減したい」 という顧客からの要望にこたえようと、 「締め切り近くなると会社に泊まりこみで合宿みたいです」
今では、 経営コンサルティングはすなわちシステムコンサルティングというほど、 経営にコンピューターが占める割合が大きくなった。 また、 どこも経営環境が厳しくなり、 事前に受注条件をこまかく取り決めなければならない。 「プログラムの仕事は面白いのですが、 ポストが上がるほど収支計算の仕事が増えてきて、 これは苦手ですね」
最近は個人情報の漏洩など、 セキュリティの問題がシステムにとって重大になってきた。 また企業統合によるシステム開発では、 それまで使っていたコンピューターのハードやソフトの違いを超えて、 異なった企業文化をどのように調整するかが大きなテーマとなる。 「大学で心理学を学んだことは顧客とのコミュニケーションに役立っていると思います」
お正月やゴールデンウイークの、 企業が休みの時期は一番多忙。 「自然に囲まれていた丹波の幼少時代を、 自分の子供に体験させてやれないのが申し訳ない」
きれいな標準語。 「母が東京育ち。 父は長く単身赴任で留守でしたから、 家の中は標準語でした。 母と東京で知り合った父は、 丹波へ連れてくるとき神戸で一泊してショックを和らげようとしたそうです」 と、 こぼれ話をひとつ。
(上 高子)