気軽に来所、 相談を
兵庫県丹波老人性痴呆疾患センター長 福井辰彦さん (三田市在住)
(ふくい・たつひこ) 1954年 (昭和29年) 氷上町伊佐口生まれ。 篠山鳳鳴高校、 兵庫医科大卒。 氷上町の香良病院勤務を経て、 1989年から医療法人敬愛会へ。 三田高原病院に勤務したあと敬愛会精神科医療部長。 2001年から兵庫県丹波老人性痴呆疾患センター長を兼務。
兵庫県丹波老人性痴呆疾患センター長で、 老人性痴呆症の症例や治療の啓発、 相談を行う。 同センターは、 県下5カ所にあり、 丹波地域は氷上町の大塚病院内に設置されている。
「老人性痴呆症は、 70歳以上の人がほとんど。 アルツハイマー型と脳血管疾患型の2つのタイプに分かれます。 アルツハイマー型は女性、 脳血管疾患型は男性の方が比較的多いようです。 国内では65歳以上の高齢者の7.8%に痴呆症状が見られます。 2030年には10人に1人になると予測されます」 と警告。
痴呆症が増える背景には高齢化の進行が大きい。 「同じことを何回も聞くようになったり、 生活がだらしなくなったりしたら要注意。 気軽に相談に来てほしい」 と呼びかける。 「家庭内では、 痴呆症状を示していても、 他人にはそうは見えないときもある。 よその人には、 病気と見られたくない、 という自分を守る本能が働く」 という。
「センターには家族とお年寄りが一緒に来られるケースが多い。 まず、 CTで脳血管疾患の有無を調べるなど鑑別をします。 痴呆性という診断が出るのを恐れて、 来所をためらうケースも見られ、 症状が重くなってからやって来る家族もあります。 痴呆は10年周期ともいわれます。 早期発見、 早期治療が何よりも大切」 と訴える。
介護については、 「良好な人間関係づくりが基本。 相手のペースやレベルに合わせる。 自尊心を傷つけないことなどが求められます」 と強調する。 丹波地域の家族会や高齢者、 女性の会など年に10回程度講演に出向いており、 10人ぐらいの小人数の集まりにも顔を出し、 痴呆予防も伝授する。 「趣味や生きがいを持ち、 人と常に交わることに心がけてほしい」と話す。 相談日は火、 木、 土曜日で (電0795・82・4874)。
「子どものころ佐治川で魚取りに熱中したことが思い出」 と少年時代を振り返る。 今はビリヤードの時間が楽しみ。
(臼井 学)