三ツ星ベルト代表取締役社長  垣内 一さん

2007.07.30
たんばのひと

「人を育てる企業」に
(かきうち・はじめ)神戸市在住

 1947年丹波市春日町生まれ。 柏原高、 大阪府立大工学部応用化学科卒。 70年入社。 取締役管理本部長などを経て2003年から取締役常務執行役員。

 産業用ベルトなどの製造販売で国内最大手の1つ、 三ツ星ベルト (本社・神戸市) の社長。 国内外に25の製造・販売拠点があり、 社員数は国内872人、 連結決算の子会社も含め約4500人。 「3月に社長の指名を受けた時、 社員の家族を含め1万人の生活がかかっていると思うと身が引き締まった」。
 先月の株主総会で正式に就任以来、 タイの工場視察などで多忙な毎日。 「東南アジアではスクーターが普及し、 変速ベルトの需要増加が見込まれる」 と話す。 一口にベルトといっても幅広い。 自動車やプリンターのほか、 スノーモービルなどにも使われる。 「人を想い、 地球を想う」 を基本理念に環境保全活動も展開。 神戸市内の小学校に遮水用ゴムシートを寄贈し、 作りだした人工池には昆虫や鳥が集まり、 子どもたちの観察の場に活用されている。 会社にはゴミ箱を置かず、 「ゴミを出さない」 を徹底する。
  「大学のゼミの指導教授に関西の企業で中堅メーカーを紹介してほしい」 と頼み、 紹介を受けたのが入社のきっかけ。 研究開発、 技術管理、 原材料を購入する部門などを歩いた。 「防弾チョッキにも使われる繊維とゴムとの接着技術にもかかわった」 と振り返る。
 全額出資の子会社の一部を売却し、 年720億円の売り上げが180億円減少。 「営業力を強化し、 回復させたい」 と自らにも言い聞かせ、 「技術力を生かし、 結果が出せるように。 それには、 人が大事。 人を育てたい」 と力を込める。
 趣味は社員と一緒のゴルフ程度。 「これを聞かれるのが一番つらい」 と苦笑。 「週末に丹波の実家に帰るのが息抜きだったが、 難しくなった。 社長に決まったと妻に告げると大変な驚きでした。 高齢の両親の面倒を頼むと話した」。 本社に地域も利用できるレストランがある。「社員、 役員が同じ物を食べる。 同じ目線で仕事をしたい」。(臼井 学)

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