P&Gマーケティングディレクター 中筋雅彦さん

2007.10.29
たんばのひと

5枚刃剃刀大ヒット
(なかすじ まさひこ)東京都在住

 昭和44年、篠山市 (旧城東町) 生まれ。 篠山鳳鳴高、 京都大経済学部卒。 P&G入社。 神戸、 シンシナティ (米国)、 ソウル (韓国) などに勤務。 現在は家族を神戸に残し東京に単身赴任。

  「外資系の企業は若い人にも任せてくれますし、 成果に対する報酬もはっきりしていて、 働き甲斐があります」。 化粧品、 洗剤、 消臭剤、 食品などの日常品を扱う外資系の企業で、 入社以来マーケティング一筋にやってきた。 同社の人気商品である5枚刃の剃刀 (かみそり) 「フュージョン5+1」 の販売戦略に成功し、 乗りに乗っている。
 その 「ジレット製剃刀」 は、 世界では70%のシェアを占めているのに、 何故か日本では20%にしかならなかったが、 中筋さんが担当してから30%にまで上がったそうだ。 「アメリカの本社で作った宣伝をそのまま世界中で使っていたんですが、 日本のマーケットに合うものを、 と半年かけて説得しました。 水泳選手の北島康介をモデルに使っています」。
 農家の長男だったので、 就職活動は 「とにかく郷里に近い関西で」 と、 神戸に本社のある P&Gへ。 他に何社も大手企業から内定をもらったが、 この会社に決めたのは、 「若いうちに短期決戦でやりたいことをやり、 いずれもっと郷里に近づきたい」 と思っていたから。 ところが、 結婚して家族を持ち、 勤務地もアメリカへ2年、 韓国へ2年と続き、 昨年からはまた東京と、 思いとはかけ離れるばかり。 「ずっと、 それが気にかかっているんです」。
 外国に住んでから 「日本人としての自覚」 がますます強くなった。 司馬遼太郎の本や、 新渡戸稲造の 「武士道」 を読んで、 「公」 の精神をもった人間像を規範にしたいと思っている。 「世界と競争する中で、 欧米とは違った生き方で対抗しなければ」。
 篠山が大好き。 特に高校時代が楽しかった。 「都会の学校とは違って、 色んなタイプの友人がいて、 幅広い経験ができたことが、 今の自分をつくる基になったと思います」。 丹波へのメッセージは、 という問いに、 「親への感謝」 という答えが返ってきた。  (上 高子)

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