TACC社長 広内 卓生さん

2008.03.03
たんばのひと

高精度の測定器輸入
(ひろうち たくお)東京都国分寺市在住

 1948年 (昭和23年) 丹波市 (山南町南中) 生まれ。 柏原高、 関西大法学部卒業。 総合商社ニチメン (現双日) 入社。 アフリカ各国、 アメリカに駐在や長期出張。 2004年、 ニチメンマシナリー常務取締役を退職し、TACC設立。

 高精度3次元測定システムの輸入販売会社を4年前に立ち上げた。 この会社はそれまで役員として勤めていたのだが、 親会社の総合商社の合併に伴って整理されそうになった時、 退職金をつぎ込んで自分の会社として引き継ぐことに。 「雇われる立場より、 苦労は多くても、 やりがいを」 と考えての決断だった。
 社員を7名に削り、 業務も絞り込んだ。 以前からの得意先のアメリカのメーカーとの良好な関係も続き、 見事に再建軌道に。 小企業ながら、 家族的雰囲気で技術営業マンたちを率いている。
 扱うのは、 建築物、 航空機や車両など大型構造物の設計に使う測定器。 レーザーを用いて測量し、 コンピューターを内蔵。 精度は高く、 軽便で堅牢。 故障しないので、 価格も高い。 アメリカ製品が世界を席捲しており、 「すぐにはかなわないけれども、 早く精密技術を生かした日本製品が待たれます」。
 商社員として、 世界中を駆け巡った。 「親父が柏原高校で英語教師でしたが、 特別に教えてもらってはいません。 でも親父に恥をかかせないよう、 頑張りました」。 貿易関係の全寮制の学校で自らを磨いたこともあり、 アメリカと頻繁に往来する社員には、 「ビジネスは会話力が大事。 会社を離れても、 技術と語学力があれば何とか食っていける」 と英語の鍛錬を勧めている。
 ビジネスとは離れて自分を見つめる目も。 「人間は自分の意志で生まれてきたわけではない。 目的なしに生きているとも言える。 自然の懐に抱かれて、 流れに逆らわず生きたい」。「磐石(はんせき)」という禅修行者に与えられる道号を持っている。これについては、「氷上高校の校長をしていた兄の影響を受けました」。
 両親が亡くなってからは郷里から足が遠のいているが、 心の中ではいつも山の自然と対話し、 休日にはよく山歩きをする。 (上高子)

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