ワコール執行役員総務部長 桂一朗さん

2009.04.23
たんばのひと

社会との信頼を柱に
(かつら・いちろう)大津市在住

1953年 (昭和28年) 丹波市柏原町生まれ。 柏原高校、 京都産業大学経済学部卒業後、 75年入社。 社長秘書、 香港ワコール社長、 宣伝部長などを経て2003年から現職。

 女性下着の国内トップの製造、 販売メーカーで、 メタボ対策の男性下着分野でも注目される、 「ワコール」 (本社京都市) の執行役員・総務部長。 会社と社会の信頼関係を築くための 「CSR活動」 担当部長も兼務する。
 宣伝部長時代の2001年、 CSR活動の1つの社会貢献活動として、 「乳がん撲滅キャンペーン (ピンクリボン活動) に本格的取り組むべき」 と役員会に提案した。 「夜に東京タワーがピンク色にライトアップしているのを見て決心した」 という。 その後、 乳がん予防の社員向けの小冊子、 啓発ビデオを作成し、 他の企業にも活動が広がり、 大きな輪になった。 「乳房を切除した女性に、 少しでも手術前の生活を取り戻すお手伝いをする 『リマンマ事業』 で、 下着やパットなどの開発に会社が取り組んでいたこともあり、 提案が受け入れられた」 と話す。
 5年間香港ワコール社長。 「現地採用の社員に経営感覚をもってもらうため、 商品仕入れなどを任せ、 『自分たちがかかわった商品』 を意識させた。 地元の人の方がマーケットをよく知っていると思った」。一方では、 10年勤続社員に日本視察、 さらに本人と家族に2つの純金メダルを贈るなどの日本的手法も取り入れ、 会社と社員、 家族との絆を深める役割を果たした。
  「産学共同を柱にしている新しい大学」、 「学閥がなく、会社と社員の相互信頼のもとで、 完成品が見られるという特色」 にひかれ、 進路を選択。 「獣医師の父の後を継ぎたかったが、 継げなかった。 忙しい父と会話が十分できなかった分、 今は故郷に帰る時に、 食材を持参。 食事をしながら両親と話すのが楽しみ」 と話し、 「故郷の匂いは何年たってもいいですね」 と口元を緩ませた。 休日はバイクで山に入り、 「心を無にしています」。 (臼井 学)

関連記事