著述家 浅野智哉さん

2009.10.01
たんばのひと

「書きたい」夢を実現
(あさの・ともや)東京都在住

 1973年 (昭和48年) 丹波市柏原町南多田出身。 柏原高校卒。 学習研究社でアルバイトを2―3年。 25歳まで企画製作会社に勤務。 26歳で 「文芸賞」 (河出書房) の候補となる。 27歳で 「ぴあ」 のコラム大賞受賞。

 人気タレント・小栗旬が主演の映画 「TAJOMARU」 がロードショーで全国公開中。 この映画をノベライズ (小説化) し、8月に講談社から発刊した。 原作は芥川龍之介の短編 「藪の中」。 最初に映画化された 「羅生門」 は黒澤明の名作となった。 盗賊の名から取ったTAJOMARU (多丸) はリメイク版。
 人気アニメのノベライズや、 書評のライター、 各種雑誌向けのフリーライターをしてきた。 娯楽情報誌の 「ぴあ」 では7年半に渡って、 直木賞候補作家、 伊坂幸太郎ほか多くの、 著名人やタレントをインタビューした。
 読書が大好きな高校生だった。 図書館では手当たり次第に乱読。 「意味もわからず大江健三郎、 芥川龍之介などを読みました」。 進路指導で 「もの書きの仕事をしたい」 と真剣に話したのに 「絶対無理」 と国語の先生から言われ、 「いつか見返してやろう」 と心に誓った。 「屈折した高校生活でした」。
 しかしその頃から色々な雑誌にせっせと投稿し、 「はがき小僧」 として知られていたという。 卒業後すぐ上京。 出版社のアルバイトなどをしていたが、 「初心を貫こう」 と25歳できっぱり仕事をやめ、 書くことに専念。 「無収入の時期が一年半ありました。 公募の賞金で食いつないだり、 知り合いのところに子犬のように転がりこんで寄宿。 水だけで数日過ごしたことも」。
 そうした苦節を経ながら実力を蓄え、 少しずつ仕事の依頼が増えるように。 「パソコンのキーボードをたたいている時が無上の喜び。 まだ公表はできませんけど、 いくつか大きな企画もあります」 と、 一層目を輝かせた。
 母は柏原で串揚げの店、 姉も青垣で古民家カフェを開いている。 「何よりも、 家族が記事を読んでくれたら」。    (上 高子)

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