昨年、 気鋭の若手工芸家を育成している金沢卯辰山工芸工房 (金沢市) に入所。 陶芸作家として造形の腕を磨く日々を送り、 5月から東京で開かれる日本陶芸展にこのほど入選を果たした。 昨年末には、 東京で個展を開催。 2月には若手作家10人と展示会を開くなど、 精力的に活動を展開している。 丹波市柏原町柏原出身。
「高校生の時から陶芸に関心を持ち始めました。 自由に形が変化する土の可能性は無限大。 釉薬を使った時の色の変化も楽しい」
「工房では、 全国から集まった若手の作家たちとともに、 作品づくりや技術を学んでいます。 さまざまなジャンルの人と一緒にいるので、 技術だけでなく、 感性などもお互い刺激し合い、 切磋琢磨できる環境です」
「幾何学模様の機械的な形態と、 貝のような有機的形態を組み合わせている私の作品のテーマは、 『人をドキッとさせること』。 今の世の中は安全で、 身の危険を感じることは少ない。 でも、 例えば縄文人がつくった土器を見ると、 得体の知れない不安に駆られる。 縄文土器と同じ手びねりの私の作品を見て、 一瞬でもいいので昔の人のような感覚を感じてもらえたら」
「自然豊かな丹波で育ったので、 緑に魅力を感じ、 作品にもよく緑色を取り入れます。 大切な家族がいる丹波は、 精神的にも作品的にも、 私のバックボーンになっています」
「将来の夢は、 1人の造形作家として工房を持つこと。 いつか、 美術館に展示されるような作家になりたい。 そのためには、 技術やセンスだけでなく、 見せ方も学んでいきたい」
独自の世界観をもとにつくられる作品には、 丹波への思いが秘められている。 研ぎ澄まされていく感性と技術の行く末を、 今後も見守っていきたい。 大阪芸術大学工芸学科卒業、 同大学院芸術研究科修了。 25歳。 (森田靖久)