長年の検視協力で篠山署から感謝状 岡本信洋さん

2009.04.13
たんばのひと

 篠山警察署の嘱託医として、 1994年から検視業務や留置者の診察に協力している。 変死体や異常死体の死因を判断する大変な仕事。 15年の貢献をたたえ、 同署刑事部長感謝状が贈られた。 岡本病院や介護関連施設を運営する特定医療法人社団 「紀洋会」 理事長。 外科医。

    
  「検視は検査なしに死因が病死か他殺か自殺かを判断しなければならず、 臨床経験が豊富でなければ対応できません。 医師会から最初に要請された時は法医学の本を3冊買ってきて勉強し直しました」
  「呼び出しは夜中もあり、 多い時で月に5、 6件、 少ない時で2、 3件ほどです。 これまでに検視を行った数は何百人にのぼります。 慣れないころは腐乱した変死体を検視して3日ほどごはんを食べられなかったこともありました。 一番多いのは、 家族が朝見に行ったら死んでいたケース。 次に多いのが自殺です」
  「篠山留置場の留置者には月に2回の健康診断を行っています。 06年に篠山署が移転新築されたのに合わせ、 県警の留置場 (定員40人) が併設されたので、 診察はかなり大変。 一時は医師2人で診ていたのですが、 出所したらお礼参りをするぞと脅されて辞めてしまったことがあります」
  「本当のことを言うと、 検視はそろそろ誰かに代わってほしい。 でも、 もし自分が辞めたらなり手がないのでやっている。 病院経営も同じですが、 いつも第一に考えているのは篠山市民のためにやるということです」

    
 篠山にあった兵庫農大医進課程の最後の学生 (現神戸大学医学部)。 「篠山はすごく学生を大事にしてくれた」 と、 いい思い出がある。 西宮市出身で、 開業のために阪神一円で土地を探し、 縁あって篠山へ。 骨をうずめる覚悟で地域医療に捧げている。 岡本病院は市内の救急患者の約3割を受け、 市民にとってなくてはならない病院になった。 篠山市東吹。 64歳。  (徳舛 純)

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