登窯修復実行委員会 委員長 大上 巧さん(篠山市今田町上立杭)

2015.06.21
たんばのひと

産地振興 「最後の奉公」

 築窯120年を迎える今秋の完成をめざし、 丹波焼最古の登り窯の修復を進める実行委員会の委員長を務める。 20歳代半ばの頃、 幼なじみの陶工と力を合わせ、 陶器市を開催。 現在の一大イベント、 陶器まつりに発展するなど、 産地活性化に尽くしてきた。 64歳になり、 丹波立杭陶磁器協同組合で長老的な存在になった今、 「登り窯の修復は最後のご奉公」 とほほえんだ。

 1976年、 若手7人で 「グループ窯 (よう)」 を結成。 今ほど立杭を訪れる人がいなかった当時、 焼き物の里に人を呼び込もうと、 グループ窯が主体になり、 陶器市を計画した。 周囲には 「若造に何ができるのか」 という冷ややかな反応もあったが、 ラジオ番組に出演しPRするなど、 夢中で準備を進めた。

 2日間にわたって開催。 メンバーの友達が交通整理員や売り子などを務めてくれ、 交通渋滞をきたすほどのにぎわいを見せた。 1日目でほぼ完売。 ほかの窯元が出品を申し出てくれ、 やり通せた。 「何が何だかわからない2日間でしたが、 充足感があった」 と振り返る。

 その後、 障がい者も健常者も使いやすい食器の開発にかかわり、 4年前、 丹波陶磁器協同組合の理事長に就任。 その間、 最古の登り窯を立杭のシンボルにしようとの機運が高まり、 修復の実行委員長におさまった。 兵庫陶芸美術館のバックアップや、 ボランティアの力を得て、 「今秋の完成に向け、めどがついた」。 登り窯がやがて国の文化財指定になればと夢を描く。

  「登り窯の完成を機に、 産地活性化は次の代に託し、 学校での陶芸教室などを通して、 子どもたちに丹波焼を伝える活動にこれまで以上に力を入れたい」。

 

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