子どもに家庭の温もりを
祈りの家キリスト教会の牧師で、夫と、中学3年の長女、小学5年の長男、小学1年の次男の5人家族。長女は4歳、長男は3歳から里親委託を受けている。末っ子が実子。
以前勤めていた札幌の教会の牧師が、里親として30人以上の子を送り出す姿を見てきた。「子どもは何も悪くない。大人の勝手に振り回されているだけ。一人でも多くの子が安心して暮らせるホーム、温かい家庭になりたい」と、33歳で里親認定を受けた。
児童養護施設にいる子どもで里子になれるのは、実親が了解した子に限られる。長女が施設から家にやって来た時の荷物は、紙袋1つ。写真といくつかのおもちゃだけだった。長女は、当初、問題をわざと起こし困らす「試し行動」が多かった。夫の前では良い子、2人になると暴言を吐いた。「私を排除し自分の居場所を作る。それが彼女が傷つかず生きていく知恵だった。そんなことをしなくてもここに居場所はある、あなたが居ていいんだよとメッセージを送り続けた」と振り返る。
長男は夕方になると、「お母さんはいつ帰るの」と言った。食事を作っていると、「何でそんなことをするの。遊んで」と怒った。母親が何か知らなかった。
お腹が大きくなかった女性がある日2歳の子を連れていたとする。その時に、「何があったんだ?」ではなく、「そういう家庭もあるよね」と周囲の理解が深まることを願っている。
一緒に過ごし共有する。経験の積み重ねが親子を作っていった。「彼らが愛することを教えてくれた。にぎやかに暮らしています」と微笑む。「行ってきます」と元気に出かけ、「ただいま」と喜んで帰って来る。当たり前の毎日が喜び。