料理で人を「笑顔」に
「美味しく楽しく簡単に」をモットーに、福知山市末広町で料理教室「ヒロコクッキングスクール」を主宰する。今年4月で36年目。これまで6000人ほどの生徒と接した。中には34年間通い続けている人や、徳島や大阪など遠方からの生徒もいる。「料理を通じて、いろんな人に出会えるのが何より」と話す。
「親とは違う道を歩みたい」と高校卒業後、辻学園日本調理師学校に入学した。「当時、料理の世界は男性社会。周囲からはずいぶん反対されましたけどね」と笑う。卒業後もアシスタントとして学校に残って技術を磨き、22歳で名古屋校の副校長を務めた。
28歳での結婚を機に地元に戻り、隣の福知山市で同スクールを開校。西洋、中華、日本料理を教える基礎クラスのほか、おしゃれな料理に取り組むグルメクラス、英会話を取り入れたクラスなど、料理を楽しむために様々な趣向を教室に反映させている。
“体は食べ物でつくられる”との考えから、「食の陰陽論」を料理に取り入れている。「例えば、紅茶にスライスしたしょうがを1枚いれるだけで、体が冷えずに温もる。体に良い食生活を難しくならないよう指導し、日々の生活に取り入れてもらえるように工夫している。食べ物は、生活だけでなく、性格も変えることができると思っています」と話す。
2年後の3月30日、教室を畳むという。ゴールを決めることで、気を引き締めて残りの仕事に取り組める、と言う。閉めた後の人生について、「そのとき考える」と笑う。「おいしい料理は人を笑顔にする。その顔を見るのが幸せ」。63歳。