丹波の牛乳守る思い強く
学校給食用牛乳など「ひかみ牛乳」の愛称で親しまれる「氷上3・5牛乳」などの製造・販売を手掛ける丹波乳業(丹波市氷上町石生)の社長。44頭の搾乳牛を飼養する酪農家で、朝5時半に牛舎に入り、午前9時ごろ牛舎を出て会社に出勤する多忙な日々を過ごしている。酪農家に転じる前は北海道でサラブレッドの調教助手。「ネクタイをしめて働く日が来るとは思わなかった」と笑う。
売上の落ち込み、工場設備の老朽化から、組合が廃止も検討した工場を引き継ぎ、2014年10月から製造を始め、1年あまりが過ぎた。工場設備の改修を終え、今年の夏を目標に、国際的な食品の製造加工の衛生管理方式「HACCP(ハサップ)」の認証を受け、安全安心のお墨付きを得る。
「丹波の牛乳を丹波のブランドで売りたい」と、ブランドを守りたい一心で会社を立ち上げた。その思いは「設立当初より強くなった」という。
製造を引き継いでから、前年を上回る売上できている。販売に力を入れてくれる取引先への協力依頼、東京・大阪での展示商談会への参加、地元イベントにも参加して営業する。組合組織では難しかった即決ができ、商談をまとめやすくなった。西山酒造場(同市市島町中竹田)の甘酒と牛乳を合わせた新商品「甘酒ミルク」を準備中。「整理できていないが、やりたいことはたくさんある」。
酪農家専業のころは原乳を納めた先、消費者とふれあう機会が少なかった。直接「おいしい」と声を聞く機会が増え、やり甲斐を感じている。「搾って原乳を売る」に付加価値をプラスできるチャンスをもらったと考えている。41歳。