創業350年、先祖の教え守る
寛文6年(1666)、福知山市で「丹後屋」と称して古着や古物などを扱う商店を開業したのが、さとうの起源。今年で創業350周年を迎える。今では兵庫県、京都府、大阪府、福井県でスーパーマーケットやショッピングセンターをはじめ71店舗を擁する企業に成長した。「日本を代表する百貨店、三越よりも7年早い創業。そう思うと、誇りを感じます」と話す。
東京大学を卒業後、丸紅で勤務。1984年、さとうに入社し、95年、社長に就任した。
さとう初代社長の父親は厳格だった。中学1年の最初の中間試験で5教科中4教科で満点、1教科で98点の好成績をあげ、得意気に父親に報告したところ、「不正解の1問のみのテストならば零点や。天狗になるな」と怒られた。さとうに入社後、阪急百貨店で研修中、父親が訪ねてきた。「地下の食品売り場にいた私に『しっかりやれよ』とやさしく声をかけてくれた。数日後に父は急死しました」としみじみ。
代々受け継がれた教えがある。『先祖から授かった資産や事業は決して自分のものとしてはならない。発展させて次代に送るのが当主の使命』。この使命を自覚し、「社長は四六時中、仕事のことを考えるべしと心得ています」と言い、枕元やトイレ、浴室などにも筆記用具とメモ用紙を常備している。
今後を展望し、「出店密度のアップが当面の課題。目標である1000年以上続く企業としての基礎を固めていきたい」と話す。従業員約5400人のうち丹波市、篠山市の在住・出身者は700人を超える。「兵庫丹波は古くからお得意様も多く、当社にとって関係の深い地域です」。62歳。