母「勘有」しのび発表会
ろうけつ染めの染色家を父に、舞踊家を母に一人っ子として生まれた。両親の仕事を引き継ぎ、京都で染色家として活躍する一方、丹波市では、一昨年に亡くなった母親、藤間勘有さんが立ち上げた「藤有会」を主宰。29日午前11時から春日文化ホールで、「藤間勘有を偲ぶ会」と題して藤有会の発表会を開く。
京都市で生まれ、戦後まもなく母親の実家がある春日町に移住。3歳頃から母親に日舞の指導を受け、柏原高校1年のとき、名取になり「有晃」の名を授かった。「母は、私にとって母親というよりも舞踊家でした。怖いお師匠さんでした」という。
10年ほど前、母親が体調を崩し、母親のアシスタントとして弟子に稽古をつけるため春日に戻る機会が多くなった。「藤有会」の会主を引き継いだ今は、月曜から木曜は京都で染色の仕事に従事、金曜から日曜は春日の自宅で舞踊の指導にあたる。
1976年、「第1回新人染織展覧会」で大賞を受賞するなど、染色家として数々の賞を受賞。今も、自身が染織した着物の展覧会に顔を出すため、おおよそ月に1回、全国各地に出かける。「でも、染色は趣味のようなもの。舞踊も趣味。自分が楽しんでいる部分が大きく、楽しく人生を生きています」と、ほがらかに笑う。
しばしば弟子と連れ立って母親の墓に参る。「発表会で上手に踊れますようにとお願いしているんですが、母はおそらくハラハラしていると思います」。発表会では、母親が古希、喜寿のときに踊った姿を撮ったビデオを上映。母親が振りつけた春日小唄、柏原小唄などの披露もある。
本名は阿部容子。72歳。