困難抱える仲間と共に
丹波市視覚障害者福祉会の会長になって3年目。会員の力になりたいと、真摯に取り組んでいる。
昨年から、福祉会で点字教室を新たに始めた。5年前に完全に視力を失ってから、点字の必要性を強く感じたことがきっかけだという。「点字は見えない世界の外国語のようなもの」と捉えており、仲間とともに世界を広げたいと望んでいる。
また、音声パソコンをはじめ、音声で知らせてくれる体温計、体重計など、便利な生活用品が開発されており、こういった製品の情報交換ができるのも会のメリットという。
来年10月には、県視覚障害者福祉協会の主催で、バリアフリー映画上映会を春日文化ホールで開く。「音声ガイドや字幕も付くので、障がいのある人や、一般の人など、多くの方に足を運んでもらいたい」と話し、準備を始めている。
会長職の打診があったのは、全盲になりかけたころ。不安があったが、「恩返しのためにも」と引き受けることに。2013年9月、地元青垣で開かれたNHKのど自慢予選会に思い切って出場。「歌が好きなわけではないが、会長として人前に出るための“勇気試し”に出ました」と照れ笑いする。
「目が見えないのは障がいではなく、個性」と捉える。「その個性と向き合うには困難が付きまとうが、たくさんの人に出会い、支えられ、助けられてきた」。広報などをCDに録音してくれたり、点訳してくれる、朗読、点訳のボランティアたちもいる。「見えない、見えづらいという同じ境遇で悩んでいる人がおられたら、福祉会で一緒にがんばりましょう」と入会を呼びかけている。61歳。