子どもたちを自然の中へ
会社員として働く傍ら、休日には「自然体験の案内人」として、子どもたちを自然の中にいざなっている。農水大臣認定の資格「森林インストラクター」をはじめ、日本野外生活推進協会のリーダー、日本キャンプ協会のキャンプディレクター、日本ネイチャーゲーム協会の指導員など、自然に関するさまざまな肩書を持つ、環境教育、野外活動のスペシャリスト。所属する団体の環境啓蒙活動をはじめ、学校や行政などから依頼を受けて、主に子どもを対象とした自然教室などを年間20回ほど行っている。
自然とかかわりを持つようになったのは20年前。当時、幼稚園児だった息子に自然体験をさせてやりたいと、日本野外生活推進協会の活動に参加したのが始まりで、それまで自然にはほとんど関心がなかった。「ドクダミの花すら知らず、家族にあきれ返られたことがあったほどです」と笑う。スタッフとして活動するようになり、子どもたちの発想力の豊かさ、旺盛な好奇心に刺激を受け、野外で子どもたちと過ごす時間がなにより楽しく感じられるようになった。
「ゲームにどっぷりの今の子どもたちは、ひと昔前の子どもたちととかく比べられることが多いが、資質はなんら変わらないと思う。『自然はおもしろい』と感じる足掛かりをつくってやるだけで、自然の中でいきいきと遊び始める。自然観察会などでは、生き物の名前や生態などをただ解説するだけの知識の押し売りにならないよう気を付け、質問されてもあえて答えを言わない時もある。子どもたちの柔軟な感性に任せ、自ら興味を持って探求していく場にしていくことが私の役割」。60歳。