もの作りのファン広げる
時計やいすなどを手掛ける木工作家。丹波市にIターンして来年で10年。イベントや教室を通じ、もの作りのファンを広げる活動を展開する。
丹波ものころネットワーク代表として、夏のサマークラフトと秋の丹波の手仕事展を企画。クラフトは2回目、手仕事展は3回目。会場の築120年の旧庄屋邸の本上田邸(丹波市春日町棚原)を、今後も文化活動の交流に幅広く活用したいという。
「クラフトでは、木工、陶芸、染織、彫金などの作家が指導するが、参加した子どもたちの真険な眼差しを肌で感じた」と話す。金づち、ノコギリ、クギなどが身近にあり、親が手仕事をする光景を見ながら育ったことが今の仕事の原点。「何でも買える便利な世の中になる一方、手づくりの機会が乏しくなった。子どもたちに手仕事の面白さを感じてもらう場づくりをしていきたい」と意気込む。
姫路市で長年、木工作家として活動するかたわら、子どもたちの指導もしてきたが、多忙な日々だった。53歳になった時、落ち着いて創作に励みたいと丹波へ。子どもの指導経験もあり、市内の作家らに声をかけ、サマークラフトを開いた。「ネットで、どんなことでも目にできる。でも、感動は一瞬。手仕事はゆっくりと喜びが沸き上がってくる」と強調する。
「手仕事展に訪れる人の目にとまる作品を作りたい。品物を買ってもらった人と心を通わせ、作品を通じて幸せな気持ちになってもらえれば」と期待。市内には交流のある20人以上の工芸作家が活動。「都会からいやしを求めて訪ねる人を招き入れる、『手仕事の里』として発信すれば地域の魅力が増すだろう」と夢を語る。62歳。