新しい仕事モデルを
丹波竜化石工房「ちーたんの館」(兵庫県丹波市山南町)の来館者増を使命に、丹波市地域おこし協力隊として活動して3年目。1年目に目標だった年間5万人を達成。昨年度は6万人を超えた。
観光客を増やすコツは「ピークをさらに伸ばすこと」と捉え、“恐竜シーズン”のお盆に焦点をしぼった。1日1000人前後だった来館者を、1500人にしたことで、年間来場者を増やした。来館者調査を行ったところ、国道175号線沿いの小野や西脇、姫路などからの来館者が多いことが分かったため、チラシを配る方面を変更した成果という。最近では市内の他施設やイベントなどの観光動態調査も行っている。
古生物学者としてアナグマやイタチ、レッサーパンダなど肉食のほ乳類の研究をしてきた。大学院卒業後、京都大学霊長類研究所や国立研究開発法人産業技術総合研究所(茨城県つくば市)などで研究員を務めた。その後、産学連携をめざし、恐竜フィギュアなどを制作する造形作家と2人で博物館を支援するコンサルタント会社を立ち上げ、仕事を通じて丹波市とのつながりができ、現在の仕事に就いた。
「自然科学をもっと普及させたい」という思いと、「研究者たちにまちづくりという仕事の選択肢があることを示したい」という2つの思いがある。「自然科学の研究に必要な統計のスキルは、まちづくりに生かせるし、フィールドは地方にある。誰もやっていないやり方で、研究をしながらまちづくりに携わる仕事のモデルをつくりたい」。
作家の顔ももち、「妖怪と古生物」をテーマにした本を出版した。山梨県出身、鹿児島大学大学院卒。40歳。