災害教訓語り継ぐ公園に 流れ出た石で記念碑設置 2014年8月豪雨被災のまち

2019.02.28
ニュース丹波の豪雨災害丹波市特集

完成した「復興砂防公園」。3月に竣工式を開く。奥に見えるのが県内最大級の砂防えん堤=兵庫県丹波市市島町徳尾で

2014年8月、豪雨災害に見舞われた兵庫県丹波市。未曽有の大災害から約4年半が経ち、特に被害甚大だった同市市島町で市が整備を進めていた「復興砂防公園」が完成した。同災害の教訓を継承し発信するとともに、防災学習の拠点とする施設。パネルで同災害の被害状況や復旧・復興の過程を紹介。すぐそばに県内最大級の砂防えん堤が建設されていることにちなみ、えん堤の役割がわかる立体模型も据えた。

同災害は、14年8月16―17日にかけて発生。同市市島町前山地区を中心に山崩れなどを引き起こし、尊い1人の命が奪われた。4人が負傷し、住家の全壊は18戸、大規模半壊が9戸、半壊は42戸。床上浸水は169戸、床下浸水は784戸に上り、被害のほとんどが市島町内だった。

兵庫県内最大級の砂防えん堤の前

砂防えん堤の役割などがわかる立体模型

「復興砂防公園」は、山からの土砂で本堂が全壊した前山地区の東皐寺(同市市島町)敷地内に整備。土砂を取り除いたあとは更地の状態だったが、市が買い取り公園化。498平方メートルほどあり、同寺の敷地を通らなくても入園できるよう、階段を新設した。

「メモリアルエリア」と題した区画には、井戸敏三・兵庫県知事が揮毫した「創造的復興」の文字を刻んだ記念碑を設置。碑の石は、同災害により山から同町内の山田川に流れ出たもの。また、08年にスペースシャトルで宇宙を旅したサクラの種から育てた「宇宙桜」の苗木を植樹する。

「学習エリア」に設置した立体模型は、長さ113メートル、高さ13・5メートルのえん堤を縮尺し、周辺の山や建物、流路工を含めて再現。えん堤の建設工事を写真入りで展示しているほか、果たす役割や治山ダムとの違いなども紹介している。

市は「災害を語り継ぐ場所とし、子どもから大人までが防災について学ぶ場になれば」と話している。

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