兵庫県丹波市青垣町山垣の「青垣いきものふれあいの里」のフィールドで電話の子機のような物が見つかった。その正体は、気象庁が高層気象観測に用いる「ラジオゾンデ」の残骸で空から降ってきたもの。観測データは、天気予報の基礎になる数字や、航空機の運航管理などに利用される。市内で見つかるのは珍しく、同施設で近く展示する。
職員の蘆田昭治さんがフィールド整備業務中に、ヤマザクラの大木にパラシュートが引っかかっているのを見つけた。発泡スチロールで覆われたラジオゾンデ本体、割れた風船の残骸と糸でつながっており、回収したところ気象庁のものと判明した。
気象庁に連絡をとり、展示し、処分する許可を得た。気象庁によると、「青垣いきものふれあいの里」の位置を考慮すると、島根県松江市の観測地点から放球されたものと推察されるという。毎日2つずつ放球しており、飛来したものの放球時期は不明。電話の子機のような形をしたゾンデのカバーに「2018年1月7日」の製造年月日がある。蘆田さんは「パラシュートの傷みなどから、かなり日が経っている」と見ている。
ラジオゾンデは、気圧、気温、湿度、風向・風速などを観測するセンサーと、観測情報を送信する無線装置を備えている。ゴムの気球に吊るして飛ばし、地上から高度約30キロまでの大気の状態を観測する。上空で風船が破裂した時点(打ち上げから約2時間)で役割を終え、パラシュートでゆっくり落下する。
世界中で同時刻に同じ手法で観測される国際的な気象観測網の1つ。国内16カ所と南極の昭和基地、洋上で放球している。