「努力に間違いなかった」
3月、加古川市であった但馬牛、神戸ビーフの枝肉の品評会「神戸肉流通推進協議会設立35周年記念大会」の去勢の部に出品し、最高位の名誉賞を受賞。さらには、同部と雌の部のトップ同士で競い合い、その勝者に贈られる農林水産省生産局長賞も受賞し、業界に飼育技術の高さを見せつけた。
5年に1度の大会で、今回は県内から予選を突破した70頭分の枝肉が集まった。田中さんの枝肉は最も高い格付け「A5ランク12番」を獲得。大会後のセリでは、堀江貴文さんと浜田寿人さんのプロデュースで、東京で展開している会員制レストラン「WAGYUMAFIA(和牛マフィア)」が、キロ1万2100円の“超”高値で落札した(総重量459キロ)。
「牛を育てるのに2―3年かかる。その間、模索し努力してきたことが間違いではなかったことを証明していただいた。飼育管理の技術、環境がトップレベルにあるという自覚と自信が持てた」と喜ぶ。
2代目。父の背中を見て育ち、そばにはいつも牛がいた。「牛飼いになることに迷いはなかった」。北海道の高校で酪農を学び、卒業後、家業に入った。
現在、繁殖牛、子牛も含め約230頭を飼育。神戸ビーフの人気はすさまじく、特にヨーロッパからの引き合いが多いという。「需要にまったく追いつけていない状況にあり、いまや世界一の肉といっても過言ではない。その生産者が県内に150軒ほどあるが、その中でも常にトップの生産者としてあり続けたい。この先も消費者からの『おいしかった』の声を励みに、より上質なものを提供できるよう日々努力を重ねていきたい」。44歳。