やや古くなるが、稲を食べて田を荒らすスズメを近隣総出で退治した話を、春日町のKさんから聞いた。竹やぶの住みかの奥の方に日中留守の間に網を張っておき、夕方大挙して帰宅して来るのを待ち受けて、鳴り物入りで追い込む。▼やぶの竹を棒などでたたき、暗やみの中を少しずつ竹から竹へ移動させていって、網のところまで来た時、大声をあげ爆竹を鳴らす。三方に張った高さ15メートルの網の中にほとんどのスズメが入って、先端の筒状の部分に落ち、文字通り一網打尽となった。天井部に覆いはないが、竹が茂っているので突ききって上へ逃げたものはごくわずか。総量20キロの収穫があった。▼「案外アホやな」と味をしめ、また翌日も同じ仕掛けを試みた。ところがどっこい。この日は、追い詰めるところまでは前夜と同じだったが、爆竹を鳴らしたとたん、スズメ達は一斉に空に向かって飛び去り、捕まったのはただの1匹もいなかった。▼前日に逃げた一部のスズメのほかは、新しくやって来た者ばかりなのに、ちゃんと昨日のことを学習し、情報を流している?。「スズメの知恵もなかなか侮れんもんや」と、一同感服したという。▼人間界では、犯した失敗の教訓を何ら活かさず、同じことを繰り返す例がいっぱいある。スズメとどちらが賢いだろうか。(E)