審議中の篠山市自治基本条例に中学生の意見を反映してもらおうと、篠山青年会議所の呼びかけで市内の中学生たちが提言書をまとめ、市長に提出したという。次代を担う中学生が地域を見つめ、よりよい地域づくりを考え、具体的に行動する。歓迎すべきことだと思う。▼以前、篠山市で聞いたケンジ・S・スズキさんの講演を思い出す。スズキさんは岩手県出身で、デンマーク国籍を取得。環境先進国のデンマークで風力発電に取り組んでいる。▼スズキさんによると、デンマークは資源が乏しいため「人こそ資源」ととらえ、この視点から人づくり、国づくりを進めている。「プロ野球選手はみんな、子どものころから野球を練習している。国づくりも同じ」といい、国づくりの基礎である人づくりを子ども時代から行うべきと力説していた。▼維新の英傑を育てた吉田松陰は子ども時代、叔父からスパルタ教育を受けた。その教育方針は「一日勉学を怠れば、藩の武は一日遅れる」だったという。世の中のために勉強するという気風が、かつての日本にはあった。▼しかし今は、個人的な功利が勉強の主目的だ。国や地域の明日について考え、国や地域を支える自覚を植え付ける教育は後回しになっている。スズキさんはこうも言った。「大学入試のために学校に行くのではない」。(Y)